こんにちは、文章を書くのが好きな一般人、うつがや(@utugaya)です。
時間が経つのは早いもので、もう師走に入り始めてしまいました。
今年はとにかく気温バグに恵まれた年で、今が春なのか夏なのか、秋なのか冬なのか、分からないような一年を過ごしました。
さて、そんな2024年ですが、そろそろ一年の総まとめをしようと言うことで、今回は読書ブロガーが1年間で読了した本を全てご紹介したいと思います!
……なのですが、今年は漫画中心の読書遍歴になってしまい、全部をご紹介するととんでもない冊数になってしまいます。
なので、今回は2024年に読んだ本の中から小説・エッセイに絞り、Xや読書メーターに感想を投稿した本をご紹介いたします!
往年の大ベストセラーから近年話題になったあの本まで。
私うつがやの1年間に及ぶ読書遍歴を最後まで追って頂けたら嬉しいです!
それでは、いってみましょー!
乳と卵 / 川上未映子
書籍情報
著者 | 川上未映子(@mieko_kawakami) |
定価 | 560円+税 |
ページ数 | 144ページ |
初版年月日 | 2010年9月 |
ISBN | 978-4-16-779101-8 |
レビュー
刊行当時、2008年の世界観が存分に生かされた作品
「女とは何か」「成長とは何か」「生きるとは何か」様々な哲学がアンニュイな雰囲気に混ぜられており、読むだけで何故か懐かしく、哀しくなる
個人的には同梱されていた短編もめちゃくちゃ好きで、特にオチが最高だった
パーティーが終わって、中年が始まる / pha
書籍情報
著者 | pha(@pha) |
定価 | 1,400円+税 |
ページ数 | 184ページ |
初版年月日 | 2024年6月5日 |
ISBN | 978-4-344-04293-3 |
レビュー
若い頃有り余る活力で社会に適合してこなかった著者が過去を振り返るエッセイ。
年齢の変化で得られるのは「老いてしまった怒り」ではなく「喪失感」である事にとてつもない衝撃を受けた。
今僕が原動力にしているのは「怒り」の力で、社会や権力、軋轢などの怒りを何かにぶつけては無意味な何かを生み出し続けている。
だからこそ、老いた先にあるのは「老いる事への怒り」だと思っていたし、歳をとった人は皆若い頃を羨むようにどこか「怒っているのだ」と思っていた。
だが本著では歳を取り若い頃のように行動できなくなった事への「喪失感」が描かれている。
昔みたいに行動できなくなった事が途方もなく悲しく、それでも現状を受け入れなんとか前に進んでいこうとする著者の様子は予想外だった。
ある程度経験してしまったから「若さ故の力」に固執する事はなくなってしまったのか、それともただ、そこにあるのは「現状」という二文字を受け入れることしかないのか。
「大人になる事」が「落ち着きを得て現状を受け入れる事」ならば、心のどこかではそうであると分かっていても今は「違う」と否定したい。
僕が現状を受け入れる時が来るまでは、この反骨精神を愛おしく思いながら生きていこう、そう思った。
今日、きみと息をする / 武田綾乃
書籍情報
著者 | 武田綾乃(@ayanotakeda) |
定価 | 691円+税 |
ページ数 | 256ページ |
初版年月日 | 2023年5月 |
ISBN | 978-4-299-04277-4 |
レビュー
ぎくしゃくした三人の高校生が様々な心情を抱きたながら「合同制作」へと向かう話
夏美が好きな主人公と、泰斗が好きな夏美、そして主人公が好きな泰斗。三角関係に思えて明確に輪郭は歪んでいて、読んでいてどこか苦しくなるような作品でした。
題材になっている「中学生〜高校生」が生々しく描かれており、恋愛や人間関係、家族関係、そして自身のアイデンティティ。
幼い頃に築き上げた「自分」というキャラクターと相対せなければならない思春期の重く苦しい心情が手に取るように伝わってきて、正直辛かったです。
それでも自分の感情から逃げずに向き合おうとする3人の姿勢にはとても心打たれました。
高校3年間のほんの一瞬を切り取った物語だからこそ、3人にもたらされた”少量の変化”が今後どのように効いてくるのか。
まさに”青春”の2文字がとても似合う作品でした!
星を編む / 凪良ゆう
書籍情報
著者 | 凪良ゆう(@nagira_yuu) |
定価 | 1,600円+税 |
ページ数 | 288ページ |
初版年月日 | 2023年11月8日 |
ISBN | 978-4-06-532786-9 |
レビュー
名作「汝、星のごとく」の前日譚や後日談を集めた短編集
結婚、性別、男女関係、人生、子育てなど
汝ではストーリーのために敢えて省かれていた作品のテーマ性が本作では見事に補完されており、この一冊を含めてやっと「汝、星の如く」の世界が完成するような一作でした
普段当たり前に起きている「人間の営み」に焦点を当て書き上げられた世界観には、思わずため息が出てしまうほどに入り込めてしまい中々帰ってくることができませんでした
本編を合わせても暗く寂しい雰囲気を併せ持つ汝シリーズですが、その中に潜む温かさに当てられてしまうとこんなにも心が揺さぶられてしまうのかと毎度驚かされます
波のように揺れ動き続ける人生の上でどのように立ち何を求め進んでいけばいいのか
分からなくなった時にもう一度手に取りたいと思った一冊です
葉桜の季節に君を想うということ / 歌野晶午
書籍情報
著者 | 歌野晶午 |
定価 | 820円+税 |
ページ数 | 480ページ |
初版年月日 | 2007年5月 |
ISBN | 978-4-16-773301-8 |
レビュー
「なんでもやってやろう屋」が悪徳商法で老人を騙す会社を調査する話
めちゃくちゃ騙された!
ラスト10ページ、今までの物語は全て嘘だったのかと思うほど全てが覆って鳥肌立ちまくりでした!
漫画や映画にはできない至高のミステリー最高です!
愛を引っ掛かるための釘 / 中島らも
書籍情報
著者 | 中島らも |
定価 | 495円 |
ページ数 | 207ページ |
初版年月日 | 1995年7月 |
ISBN | 978-4-08-748357-4 |
レビュー
昭和中期から亡くなるまで、酒とタバコを愛ししっとり横暴に生きた著者のエッセイ。
1分未満で読める短編が詰まった一冊なのでちょこちょこ摘もうと思っていたら、一気に読み切ってしまった……。
深く思考し世界を見たかと思いきや、突然酒や女の話をぶち込んできて、するすると文体に惹き込まれてしまう。
太宰治が真摯に退廃に生きたとするならば、中島らもや昭和中期の文筆家は横暴に退廃に生きてきたと感じる。
もはやこの頃に出向くことは不可能だけれど、どこか帰りたい。そう思わせる文章の連続だった。
アルジャーノンに花束を / ダニエル・キイス
書籍情報
著者 | ダニエル・キイス |
定価 | 860円+税 |
ページ数 | 464ページ |
初版年月日 | 2015年3月13日(新装版) |
ISBN | 978-4-15-041333-0 |
レビュー
知的障害を持つ主人公が高度な知力を得る話
まるで様々な花が纏められた花束のように色々な哲学が込められた物語でした
“普通の人間“が持つ愚かさや、はたまた生きていく上で獲得する思考がチャーリィ視点で言語化されていて、とても考えさせられます
愛・優しさ・信頼・生きていく理由etc… 何にフォーカスして読み進めるかで今の自分がどのように構成されているか見えてくる作品です
時間が経った頃にまた読み直したい、涙なしでは読みきれない名著でした!
不思議の国のアリス /ルイス・キャロル
書籍情報
著者 | ルイス・キャロル |
定価 | 500円+税 |
ページ数 | 192ページ |
初版年月日 | 2010年2月25日(河合祥一郎訳版) |
ISBN | 978-4-04-211803-9 |
レビュー
したたかで変わり者のアリスが不思議の国に迷い込む話
大人になって読み返す世界の名作シリーズ、とても面白かったです!
ストーリーの独創性やアリスの生意気な語り口、理解することを放棄した会話文もさることながらやはり本作は「言葉遊び」がめちゃくちゃ秀逸でした!
語感や韻、意味のダブルミーニングなどさまざまな遊び心が登場してきて飽きることもなく、最後まで楽しめました
「不思議の国のアリスは原文で読め」と言われますが翻訳版でも十分アリスの世界に浸れる、名訳名著のひとつでした!
風に舞いあがるビニールシート/ 森絵都
書籍情報
著者 | 森絵都 |
定価 | 1,400円+税 |
ページ数 | 320ページ |
初版年月日 | 2006年5月 |
ISBN | 978-4-16-324920-9 |
レビュー
これまたとんでもないものを読んでしまった
六話構成の短編集、森絵都とくれば優しく温かな物語が待っているだろう、そう心が囁き手に取った一冊だったが、あまりにも違った
泥臭く人間臭のする物語が森絵都の文体で綴られており、そのどれもが心に響く変化する宝石のような輝きを放っている
語るべきは多いが特に題を挙げるとするならば「守護神」は思わず唸ってしまうような作品だった
レポートの代筆を頼む社会人大学生の男と「代筆の神」と学内に名を轟かせたニシナミユキの二人を主軸に進む物語だったが、読み終わった時の興奮度は群を抜いて高かった
曖昧模糊な人間の感情を取り正しているはずなのに凄まじいほどに徹底された取材に美しい文章構成が熱を帯びている
まさに”一人アンソロジー”と呼ぶに相応しく、一冊の中で様々なテーマや様々な登場人物ここまで書き分けられ、しかも満点以上を付けれる一冊は唯一無二な深く心に刻まれるような読書体験だった
号泣する準備はできていた / 江國香織
書籍情報
著者 | 江國香織 |
定価 | 550円+税 |
ページ数 | 240ページ |
初版年月日 | 2006年7月1日 |
ISBN | 978-4-10-133922-1 |
レビュー
「今ある現状」をしたたかに生きる男女の短編集
まさに「純文学」と言わざるを得ない短編集でした
三人称視点で描かれる文章の一つ一つが絵画のように想起でき、その色の美しさ、力強さに惹かれるような小説が並んでいます
苦しむことすら自身の美しさに取り込んでしまう、女性の強さが滲むような美しい名作でした!!
まとめ
ということでいかがだったでしょうか?
今回は読書ブロガーが1年間で読了した本を全部紹介させて頂きました。
この他にも今年は金田一少年の事件簿シリーズのタッグが描く学園ストーリー、「探偵学園Q」を全巻読んだりたまたまセールで見つけた名作少年漫画「GetBackers」を全巻読んだりした一年でした。
年々小説の読了率が下がっている今日この頃ですが、小説家志望としてはなんとか上げたいところです。
来年もどんな本に出会えるのか、楽しみで仕方がないですね!
気に入って頂けたら是非手に取って頂けると嬉しいです。
最後まで読んで下さりありがとうございました!