こんにちは。文章を書くのが好きな一般人、うつがや(@utugaya)です。
皆さん、「#名刺代わりの小説10選」と言うタグはご存じでしょうか?
このタグは文字通り「自分の名刺代わりになりそうな小説を10冊選び自己紹介代わりに載せる」という趣旨のタグで、主にTwitterにてよくみることができます。
今回の記事は、そんな「#名刺代わりの小説10選」というタグをお借りして、僕が挙げる10冊を事細かに解説していこうという訳です!
この記事を執筆するにあたってこのタグの初出やざっくりとした歴史について調べてみたのですが、残念ながら僕の調査では調べることはできませんでした。
ですがこの場を借りてこのタグを作ってくださった方に感謝を述べると共に、自分の心に刺さった10冊を「どうしてこの本なのか」や「本との思い出」について交えながら語りたいと思いますので是非最後までお付き合いいただければ幸いです。
それでは早速、行ってみましょー!!!
「#名刺代わりの小説10選」って何?
前書きにも述べましたが、この「#名刺代わりの小説10選」と言うタグはTwitterにて「読書アカウント」を名乗る本を愛する人々の間でもはや挨拶の定石となっている、「自分の名刺代わりになりそうな小説を10冊選び自己紹介代わりに載せる」タグです。
今や大人気のタグのため、このタグにまつわる関連サイトも多数あり、例えば簡単に「#名刺代わりの小説10選」を生成できる「#名刺代わりの小説10選ジェネレーター」や「#名刺代わりの小説10選集計」などがあります。
色々な人がハマった小説や趣味嗜好が透けて見える感じが面白く、中には村上春樹先生の著書名を多くあげるハルキストや、太宰治先生を多くあげる方など、本当に眺めているだけでも面白いタグになっています。
是非興味が湧いた方がいらっしゃいましたら一度Twitterにて「#名刺代わりの小説10選」を検索してみてください!!!
「#名刺代わりの小説10選」の初出や歴史について
本記事の執筆のためさらっとではありますが「このタグを始めたのは誰か」や「このタグがどうやって誕生したのか」について調べてみましたが、結論は完全に不明となりました。
サーチ力が足りないのか、有名になりすぎて初出なんて行方不明なのか。どちらか分かりませんがもし情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらうつがやのTwitterまで情報を寄せていただけますと幸いです。
「うつがや」の#名刺代わりの小説10選
さて、タグの詳細はここらへんにしていよいよ僕の「#名刺代わりの小説10選」に移りたいと思います。
その前に僕の読書遍歴を少しだけ聞いてください。
僕の読書遍歴は小学校高学年から始まります。当時同級生からのススメで初めて手に取ったのは「バカとテストと召喚獣」という、「ぐらんぶる」で有名な井上堅二先生のライトノベルでした。
そこから中学生一年生まではライトノベルにはまり、山田悠介先生との出会いで一般文学へと進んでいきます。
ここで出会ったのが今でも敬愛する貴志祐介先生、武田綾乃先生でした。
ある程度一般文学に手を伸ばし飽きると、またまたライトノベルに戻り、そこからはジャンル隔てなく好きな作品を手にとるようになります。
と言うことで僕の場合、読書の嗜好が大きく「一般文学」と「ライトノベル」のに種類に分かれており、今回はその二つから特に気に入っている作品を10作品選んでみました!
それでは、僕の「#名刺代わりの小説10選」、こうなりました!
- 新世界より/貴志祐介
- 小説の神様/相沢沙呼
- 響け!ユーフォニアム/武田綾乃
- 私たちが好きだったこと/宮本輝
- 人間失格/太宰治
- 浜村渚の計算ノート/青柳碧人
- バカとテストと召喚獣/井上堅二
- りゅうおうのおしごと!/白鳥士郎
- 家出中の妹ですが、バカな兄貴に保護されました。/佐々山プラス
- ぼくたちの青春は覇権を取れない/有象利路
各作品の解説と選んだ理由
発表も済んだところで僕が何故この作品を選んだか、どんな思い出があるのかについて語っていきたいと思います!
新世界より / 貴志祐介
ここは汚れなき理想郷のはずだった。
1000年後の日本。伝説。消える子供たち。
著者頂点をきわめる、3年半ぶり書き下ろし長編小説!子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。
講談社
いつわりの共同体が隠しているものとは――。何も知らず育った子供たちに、悪夢が襲いかかる!
この作品は当ブログでも何度も紹介している「和風×SF」という一風変わったジャンルの作品になります。
この作品との出会いはズバリ中学2年生の頃でした。
実のところ「新世界より」は初めアニメから入っており、独特な暗い世界観に描かれる人々の営みと世界の真実へ対峙していく姿勢にとても感動を覚え、すぐさま原作である小説を手に取りました。
小説を読み進める上で僕が特に気に入ったのは「性的描写」でして、ここまで人間同士の営みを動物同士のように生々しく描いた作品は中々ないと感銘を受けたと同時に初めて性に対し「嫌悪感」という視点があることを知った瞬間でした。
「新世界より」の細かい解説や感想などは下記の記事にもまとめてありますので是非一度目を通していただけると幸いです!
小説の神様 / 相沢沙呼
小説は、好きですか――?
いつか誰かが泣かないですむように、今は君のために物語を綴ろう。
僕は小説の主人公になり得ない人間だ。学生で作家デビューしたものの、発表した作品は酷評され売り上げも振るわない……。
講談社タイガ
物語を紡ぐ意味を見失った僕の前に現れた、同い年の人気作家・小余綾詩凪。二人で小説を合作するうち、僕は彼女の秘密に気がつく。彼女の言う“小説の神様”とは? そして合作の行方は? 書くことでしか進めない、不器用な僕たちの先の見えない青春!
映画化もされた相沢沙呼先生の名作小説、「小説の神様」です。
この作品の一番凄い所が、「どんなストーリ展開になっても『小説を愛する心』は失われない」というところにあります。
あらすじにもある通り主人公とヒロインは若くして作家になった2人で、世間からの評判や今後の進退、さらにはいくら現実が邪魔をしてきたとしても「小説を愛する心」は失われないんですね。
この作品は「エンターテイメント作品」とは名ばかりの、もっと深く、小説を愛する人々のためのバイブルの様な一冊です。
辛いことがあっても、苦しかったとしても、絶対に愛する心だけは走ることをやめない。
そんな姿に読みながら心を穿った感覚が今も残っており、「好きな小説は何?」と問われた時僕はすぐさま名前を挙げる様な一冊です。
プロフィール記事にも書きましたが小説家を志す一端の人間として、この小説に出会えたことは「小説の神様」が贈ってくれた運命なんじゃないかって、そう思っています。
響け!ユーフォニアム / 武田綾乃
北宇治高校吹奏楽部は、過去には全国大会に出場したこともある強豪校だったが、顧問が変わってからは関西大会にも進めていない。しかし、新しく赴任した滝昇の厳しい指導のもと、生徒たちは着実に力をつけていった。実際はソロを巡っての争いや、勉強を優先し部活を辞める生徒も出てくるなど、波瀾万丈の毎日。そんななか、いよいよコンクールの日がやってくる――。少女たちの心の成長を描いた青春エンタメ小説。
宝島社
さて、満を持して僕の青春を破壊してくれたクソデカ小説、武田綾乃「響けユーフォニアム」の登場です。
アニメ化、さらには今年の8月に新作映画までも公開されるほどに多数の人から愛されている小説で、知っている方も多いのではないでしょうか。
ズバリ、この小説は「読んだ後、本気で吹奏楽部に入りたいと願ってしまったほどにアツい音楽小説」です。
今までたくさんの部活動をテーマにした小説を読んできましたが、ここまでアツくて、心の底から本気で応援したくなるような小説は初めてでした。
主人公の「黄前久美子」の葛藤に始まり、生々しく描かれる部活動の人間関係や、「音楽」という曖昧なものに対し汗水垂らして真摯に向き合う姿。
今思い出しても鳥肌が立つような夏が、この小説にはあります。
空き教室、窓から入ってくる夏風に吹かれながら、今日もユーフォニアムを吹く。
そんな文章を読ませられて、「僕も吹奏楽部に入ってこんな青春を送りたい!」と思わないわけがありません。
もっと詳細に感想や作品紹介をしている記事が下記にありますので、是非そちらも読んでいただけると「いかに僕が吹奏楽に取り憑かれたか」が分かると思うので読んでいただけると幸いです!
私たちが好きだったこと / 宮本輝
工業デザイナーを目ざす私、昆虫に魅入られた写真家のロバ、不安神経症を乗り越え、医者を志す愛子、美容師として活躍する曜子。偶然一つのマンションで暮らすことになった四人は、共に夢を語り、励ましあい、二組の愛が生まれる。しかし、互いの幸せを願う優しい心根が苦しさの種をまき、エゴを捨てて得た究極の愛が貌を変えていく……。無償の青春を描く長編小説。
新潮社
小説界の大御所、宮本輝先生の名作小説「私たちが好きだったこと」です。
これは一言で例えると、「大人の青春小説」です。
これを初めて読んだ高校2年生、僕は衝撃を受けたのを今でも覚えています。
自立した大人たちが送る甘くて焦ったい日常を言葉に例えるとしたら、「青春」が一番あっている、と気づいたとき、新たな世界を知った気がしました。
それまで「青春」というイメージは「中学生・高校生」によるもので、「思春期しか存在しないもの」だと考えていました。
ですが本作を読んで、その考えが180度変わることとなります。
中高校生にはない深い体の関係や、ある程度年齢の経った時に感じる将来の夢、そして、大人だからできるビターなデート表現などはどこか別世界なのに、その当時の自分にも共感できる所がありました。
キャピキャピできる年齢にはいないからこそ送られる、焦ったい青春。
思春期あるあるの「大人になることを嫌悪していた自分」にとってこの発見は青天の霹靂で、それまでの価値観を変えるきっかけになった小説です。
人間失格 / 太宰治
「恥の多い生涯を送って来ました。自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです」東北の大金持ちの息子であり、廃人同様のモルヒネ中毒患者だった大庭葉蔵の手記を借りて、自己の生涯を極限まで作品に昇華させた太宰文学の代表作品。「いまは自分には、幸福も不幸もありません。ただ、一さいは過ぎて行きます」ほかに、家族の幸福を願いながら、自らの手で崩壊させる苦悩を描いた「桜桃」も収録。
角川文庫
人間失格を読んだ時、そのあまりの暗さ、堕落していく姿勢、その中にある愛情に鞭を打たれた気がしました。
文字通り堕ちていっているのに、どこか愛らしい登場人物たち。
冒頭の「3枚の写真」のくだりは読み終えた時初めて意味合いがわかり、鳥肌が立ったのを覚えています。
思春期だった僕の抱える陰鬱さが人間失格と重なった気がして、そこから「敬愛する一冊」として何度も何度も読み返しました。
「愛している」という言葉が烏滸がましいほどに、「敬愛している」一冊です。
浜村渚の計算ノート / 青柳碧人
「数学の地位向上のため国民全員を人質とする」。天才数学者・高木源一郎が始めたテロ活動。彼の作った有名教育ソフトで学んだ日本人は予備催眠を受けており、命令次第で殺人の加害者にも被害者にもなりうるのだ。テロに対抗し警視庁が探し出したのは一人の女子中学生だった! 新時代数学ミステリー!!
講談社
当ブログでも何度も名前の挙がる「数学嫌いのための数学ミステリー小説」、それが「浜村渚の計算ノート」シリーズです。
僕は数学が大っ嫌いです。
数式なんて見た日には一日嫌悪感が付きまとうし、脳みそに入れるのも拒絶するくらいには嫌いなのですが、この小説はそんな僕に「数学の面白さ」をど直球ストレートで教えてくれました。
数学が教科として無くなった世界で突如現れた数学テロリスト集団。
ですがそれに対峙しようにも条件があり、数学を学校で習っていた人々には解決できません。
ではどうするか。
そこに現れたのが「数学が好きだ」という数学天才少女、浜村渚です。
この浜村ちゃんがとても可愛くて、少し抜けているところもあるけれど、問題が数学となったら途端に誰もわからなかった問題をすらすら解いてしまう。そんな愛らしくも賢い少女なんです。
小説内に出てくる事件も秀逸で、たとえば三色問題。地図上にて隣接する市を3色使い、色が隣り合わせにならないように塗っていく問題なのですが、この問題を使った殺人事件が発生してしまいます。
刑事たちも頭を悩ませる中、浜村渚が現れてはすらすら問題を解いていき、事件を解決したいきます。
このようにどこかでは効いたことあるような数学の問題が題材となっており、読んでいる側としても推理できたり新たな知識が手に入れられてとても楽しい一冊です。
そして何よりすごいのが「読みやすさ」。
数学嫌いな僕でもすらすら読めてしまうほどに簡単に問題の内容が説明されていたり工夫が凝らしてあって、読んでいて数学の楽しさに触れられます。
いやー、授業が常にこんな感じだったら僕もここまで数学を嫌いにならなかったと思うんですけどね。
バカとテストと召喚獣 / 井上堅二
「こんな教室は嫌じゃああっ!!」 アホの明久は叫んだ。ここ文月学園では、進級テストの成績で厳しくクラス分けされる。秀才が集まるAクラスはリクライニングシートに冷暖房完備だが、彼のいる最低Fクラスの備品はボロい卓袱台と腐った畳だけ。 明久は密かに憧れる健気な少女・瑞希の為、クラス代表の雄二をたきつけて戦争を始める。
ファミ通文庫
漫画「ぐらんぶる」でもお馴染みの、井上堅二先生のベストセラーギャグラノベ、「バカとテストと召喚獣」です。
このラノベには深い思い出があり、冒頭の読書遍歴でもさらっと語りましたが、僕の読書旅はこの作品から始まったと言っても過言ではないほどの作品なのです。
小学5年生のあの時、読書好きなオタク友達から「おすすめだよー」と手渡されたのがバカテスの6.5巻だったように思います。
読みやすく、挿絵が入っているためわかりやすい。
そして何よりの面白さ。
軽い下ネタやコミカルな展開は読む手が止まらなくなり、「ラノベってこんなに面白いんだ!」と知った初めの出来事です。
小学6年生の誕生日プレゼントは、バカテス全巻を親に頼んで買ってもらったことを今でも覚えています。
そこから怒涛のように読み進め、全巻読み終えても短編集をひたすら読み返したり、文字通り繰り返し、繰り返し、読む小説がなくなった時やクスッと笑いたい時などにも読み返した思い出の一冊です。
吉井に姫路さんに島田に秀吉に。今でもスラスラ登場人物の名前が出てくるほど愛しています。
また、この作品はアニメ化もされており、そちらも何回も見た記憶があります。
発売から12年が経った作品ですが、今でも笑える普及の名作です。
ラノベファンの方で未読の方がいらっしゃいましたら絶対に読んでください。この作品だけは裏切らないです!
家出中の妹ですが、バカな兄貴に保護されました。 / 佐々山プラス
電撃文庫
二度とこの町に戻らないつもりだった。飛行場へと向かう車に揺られながら、龍二は言い知れぬ不安に胸がざわつくのを感じていた。
進学を機に、故郷を捨てた大学院生の龍二。だが、研究室所有の実験飛行場を監督するため、夏休みの間、再び故郷へと足を踏み入れることとなった。
「――久しぶりだな、クソアニキ」
そこで待っていたのは、町で評判の悪ガキになり果てた異母妹の樹理。龍二にとって、消し去りたいトラウマそのものだった。龍二は家出中の樹理と、飛行場で共同生活を送ることになり――。
これは不良小学生の妹と、里帰り中の兄。離れ離れになった兄妹の再会と再生を描いた、ひと夏の物語。
突如電撃文庫に現われた一夏の冒険×兄妹愛の最高峰ラノベ、それが佐々山プラス「家出中の妹ですが、バカな兄貴に保護されました。」です。
この小説、特に何かしらの賞を取ったとか、そう言ったバックグラウンド無しに刊行されました。詰まるところ僕も何ら前知識無く手に取った一冊です。
それでも「#名刺代わりの小説10選」に選んだのは、その読後感にあります。
前述しましたが、このラノベは「1夏の冒険×兄妹愛」がかけ合わさって出来た最高峰の作品です。
真夏、航空部に所属する主人公の元に義妹がやってきます。
大空への羨望とギクシャクする兄弟間。それらが物語の終盤、まるで大空に飛び立つかのように解決していくんです。
消して一言では表すことの出来ない爽快感が、今も胸の中に残っています。
ギラギラと輝く太陽に充てられて汗水を垂らし、無意味だと分かっていても突き進む姿。
どこまでも広がる青空に兄妹愛を馳せたストーリーはどんな作品にも真似できない唯一無二があります。
夏になったらこの作品を手に取り、入道雲に2人の姿を重ね合わせるのが僕の定番夏の過ごし方です。
りゅうおうのおしごと! / 白鳥士郎
『のうりん』の白鳥士郎最新作! 監修に関西若手棋士ユニット『西遊棋』を迎え、最強の布陣で贈るガチ将棋押しかけ内弟子コメディ、今世紀最強の熱さでこれより対局開始!!
GA文庫
玄関を開けると、JSがいた――
「やくそくどおり、弟子にしてもらいにきました!」
16歳にして将棋界の最強タイトル保持者『竜王』となった九頭竜八一の自宅に
押しかけてきたのは、小学三年生の雛鶴あい。きゅうさい。
「え? ……弟子? え?」
「……おぼえてません?」
憶えてなかったが始まってしまったJSとの同居生活。ストレートなあいの情熱に、
八一も失いかけていた熱いモノを取り戻していく――
この作品はすごい。本当にその一言に集約される名作。白鳥士郎「りゅうおうのおしごと!」です。
「将棋」という、一見堅そうな文化をライトノベルという一見真逆のジャンルに落とし込む。その手腕だけでも絶世の評価に値しますが、何といっても”熱気”が凄い。
一手一手に自分の人生を、思考を、過去を、全てを乗せてパチンと将棋駒をはじく。
その熱さがまるで紙の向こうから伝わってくるように感じられて、とてもじゃないけれど小説では出来ない体験が出来る一作です。
一行一行が読んでいて惜しい。ページが減っていくのが悲しい。なぜなら、結末が見えているから。
”もしも僕が反対に座っている対局者だったら”。そんな事を考えると鳥肌が止まらなくなります。
それほどまでに一手には人生が、青春が、愛情が。全てがかかっているからです。
こんなにも将棋を好きになることがあったのかと、目を疑うほどに一ページめくった途端から将棋の持つ”熱い”世界に引き込まれていく作品です。
どんな人にもお勧めしたい一作。まだ未読の方も、もう一回読んだことがある方も。主人公の想いを乗せて、手に取ってみるのは如何でしょうか。
ぼくたちの青春は覇権を取れない / 有象利路
電撃文庫
「どんな人間であれ、一日でアニメを約57本しか観ることが出来ない」
ぼく、こと坂井九太郎が所属するアニ研は、上記のような世迷言を乱発する部長をリーダーとするダラダラ部活動(ちなみに30分アニメからCMを抜くとOPED含め実質25分だからそれで計算して57本らしい。なんてアニメバカなんだろう)。
部員はぼくと部長と、部長の幼馴染さん(女性。現実にいるんだ……なんてアニメキャラぽいんだろう)の3人のみ。
生徒会にも活動に目をつけられてるっぽいし果たして今後どうなるのかなと思っていたところに、来訪者が現れた。それはぼくの学年一番の美少女・岩根美弥美さん。彼女の出現を皮切りに、部には「アニメ」にまつわるちょっとした事件が次々と巻き起こり――?
さて、長々と書き連ねた10選解説もいよいよ終盤です。最後にご紹介するのはコメディと熱血をこれ以上無いほどに掛け合わせた名作、有象利路「ぼくたちの青春は覇権を取れない」です。
この作品は、僕が小説家を志してから手を伸ばした作品なのですが、何といっても構成力が凄い。
序盤は人を引き込むようにギャグテイストで進行し、物語の後半になるにつれ熱く、限りないほどに真剣な小説に様変わりします。
「どうプロットを立てればこんな作品が作れるんだ?」と驚愕した思い出があります。
以前紹介したラノベファンタジーの記事にも書いたのですが、普段有象先生はド下ネタぶっ込みの抱腹絶倒ラノベを書かれています。
この作品はそんな有象先生のデビュー作になるのですが、いや、真逆すぎるでしょ。
計算され尽くした構成力に”アニメ制作”の真剣さ。何だこれ!?!?
この作品の駄目なところはそのマイナーさ、この一点です。
あまりにも読んだことある人が少なすぎる!!!
こんなに凄い作品なのに知名度が低いのは個人的に許せません。
どこか面白くてどこか温かく、それでいて熱い。こんな青春小説を多くの人が手に取っていないのはもったいなさ過ぎる。
気になった方、こんなブログはすぐにそっ閉じして今すぐこの小説を読んでください。
それまでに読了した小説の評価が一段階下がるような素晴らしい展開が、きっと心を掴んで離さないはずです。
まとめ
と言うことで如何だったでしょうか?
長々と文章を書き連ねていくうちに時間を忘れ、二時間ほどこの記事に没頭してしまいました。
それほどにどの作品も僕の心を打ち、自分の人生に多大な影響を与えてくれたのだと実感します。
まさに「名刺代わり」にしたい10冊です。
どの作品も本当に推せる一冊です。気に入って頂けたら是非手に取って頂けると泣いて喜びます!
最後まで読んで下さりありがとうございました