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Book review

「浜村渚の計算ノート」を読んで。数学嫌いにこそすすめたい最高の数学エンターテイメント

Book review

こんにちは。文章を書くのが好きな一般人、うつがや(@utugaya)です。

皆さん数学は好きですか?

小・中・高と必修科目にある数学。もしかしたら大学でも数学を学んだという方もいるかもしれません。

僕はというと、数学は最大の苦手科目の一つです。中学生にあがり、XとYの計算が入って来たあたりで早々に離脱しました。

そんな数学苦手な僕が読んで初めて「数学って面白いやん」ってなったのが、青柳碧人の「浜村渚の計算ノート」シリーズです。

数学が学校の授業からなくなった世界で、数学を復活させようと目論むテロリストと数学の得意な女の子との戦いを描いた作品なのですが、とにかく数学が魅力的に描かれているんです。

ということで今回は「浜村渚の計算ノート」についてどこが良いのか、数学苦手な僕が実際読んでみてどう感じたのか、詳しく書いていきたいと思います!

おすすめポイント
  • 世界一分かりやすい数学ミステリー。例えるなら、NHK教育
  • それでいてちゃんと面白いってどゆこと?
  • 文系の諸君、とりあえず読め。小説を読むのは大好きだろ?

浜村渚の計算ノートについて

あらすじ

「刑事さん、解けちゃいました」
四色問題、フィボナッチ数列、円周率――。対「数学テロ」。警視庁の最終兵器は、天才数学少女!

「数学の地位向上のため国民全員を人質とする」。天才数学者・高木源一郎が始めたテロ活動。彼の作った有名教育ソフトで学んだ日本人は予備催眠を受けており、命令次第で殺人の加害者にも被害者にもなりうるのだ。テロに対抗し警視庁が探し出したのは一人の女子中学生だった! 新時代数学ミステリー!!

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書籍情報

著者青柳蒼人(@aoyagi_
定価640円+税
ページ数296ページ
初版年月日2011年6月11日
ISBN9784062769815

おすすめポイント

世界一分かりやすい数学ミステリー。例えるなら、NHK教育

物語の話に入る前に語りたいのが、本書のなんと言っても唯一無二の特徴である「数学ミステリー」であると言うことです。

数学のなくなった世界で自称”数学テロリスト”を名乗る人々が大暴れ。こいつら意外にもその名の通りテロだの殺人だの結構暴れます。

そんな沢山起こる事件に紐付いて数学の問題が出てくるのですが、これが結構難問です。

例えば、一巻第一話に出てくる問題は「4色問題」です。

1852年にフレデリック・ガスリーによって定式化された問題で、高校数学にて一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

数学嫌いの皆さんには深く理解されず、「これって結局意味あるん?」と断念された方も多いと思います。

無論、僕もその一人でした。

ですが本書「浜村渚の数学ノート」ではこれが、面白いほど分かりやすく紹介されているんです
この本を読んでいれば問題の意図が理解できてしまうほどに。

NHKの教育番組って別にそこまで面白いわけじゃないのになんとなく見てしまうじゃないですか。

あれと同じ感じです。

物語の面白さに相まって数学の知識欲がいい感じに刺激されて虜になってしまう。
「浜村渚の計算ノート」はそんな知の欲求がいい感じに刺激されて、しかもわかりやすい。

世界一の数学ミステリーと銘打つに素晴らしい一冊だと思います!

それでいてちゃんと面白いってどゆこと?

そして次に、物語の話です。

複雑奇怪な数学が絡むミステリー、実に面白くなさそうな響きでしょ?
これがまた、読む手が止まらなくなるほど面白いんです。

なんと言っても語りたいのが題名にもいる「浜村渚」という少女について。

数学テロリストが暴れる世界では道徳教育に比重が割かれ数学教育が排除されかけています。

そんな世界に降り立った数学の天使。
それこそが浜村渚です。

まず、なんと言っても可愛い。

とにかく可愛いです。一挙手一挙動可愛い。
発言も可愛い。ついつい目で追いたくなってしまう小動物のような可愛さがあります。

次に、それでいて現役中学生と言うギャップです。

渚ちゃん、ちゃんと中学生なので門限があります。

国を揺るがすような殺人事件が起きていようとも、テストがあり、学校行事があり、そこには日常があります。

警察の人に友達の話をしたり、門限だからと家まで送ってもらったり、そんな渚ちゃんの日常が数学の嫌な成分を打ち壊してくれるエッセンスになっています。

そして最後に、めちゃめちゃかっこいいです。

大人でさえも手を焼く数学の問題を「数学が好きだから」という理由で楽々解いていくその姿にまたギャップを感じ、メロメロになってしまいます。

そんな可愛らしさとかっこよさのギャップの合間に国家転覆を企むテロリストの脅威がある。

こんなに面白い物語が数学ベースに進んでいっているって文系の皆さん、どうでしょう。

読んでみる価値、感じてきたでしょう?

文系の諸君、とりあえず読め。小説を読むのは大好きだろ?

この物語の大切なことの一つに、「小説である」と言う点をあげます。

そうです。この本、小説なんです。

僕は別にNHKでやってる教育番組の登場人物について可愛い可愛いと語ったわけじゃありません。
普段から文系の諸君が手に取っている「小説」という媒体で販売されているものなんです。

ここが特に肝心で、人類の歴史のなかで生み出された「文字」と言う媒体で表現されているのだからこそ手に取りやすく、そして覚えやすいんです。

青柳先生には本当に脱帽です。だってのこんなに分かりやすい数学ミステリーを小説でやっちゃうんだもん。

分かりやすくて面白くて可愛くて。そんな小説、読みたくなること山の如しでしょう。

こんなことをブログで書くのもなんですが、浜村渚シリーズは結構図書館に置いてあります。
本当は下のリンクから買って欲しい。けれども、まずは一冊手に取って欲しい。

図書館ならば無料で、こんなに面白い数学ミステリーを読めてしまうんです。

まずは一冊、手を伸ばしてみてください。

きっとあなたも浜村渚の世界に虜になってしまうこと間違いなしです

ミュージカル「浜村渚の計算ノート」について

さて、長々と浜村渚の計算ノートシリーズについて語ってきましたが、この項では他媒体の話をしたいと思います。

2023年9月現在、浜村渚の計算ノート、ミュージカルの舞台をやっています。

会場福岡公演・キャナルシティ劇場
大阪公演・宮ノ森ピロティホール
名古屋公演・ウインク愛知
東京公演・サンシャイン劇場
会期福岡公演・2023年8月26,27日
大阪公演・2023年9月1,2,3日
名古屋公演・2023年9月9,10日
東京公演・2023年9月14,15,16,17,18日
キャスト主演・桑原愛佳 他

あの数学ミステリーが舞台化です。

「ただでさえ学生が手をこまねいている数学を使ったミステリー」という時点でミュージカル化に対し不思議な感じがしますが、そこにも本書の凄さが現れています。

物語の中で綺麗に数学が使われているおかげで、難しい理解が必要ないんです。

いちいち解説とかしなくても大丈夫。何故なら、ストーリー上で実際に浜村渚が解いてしまうからなんですね。

「小説を読むのは厳しいよ〜」と言う方、是非是非ミュージカル版をお勧めします。

主演の桑原愛佳さん率いる可愛らしい浜村渚が可憐に数学を解き明かす瞬間を、是非その目に焼き付けてください。

きっとDVD化もされる事でしょうから、その時はまた記事を更新したいと思います。

もし本書が気に入ったら

他の数学ミステリー作品

  • 東野圭吾「容疑者xの献身」

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。

2005年に直木賞を受賞した東野圭吾の人気ミステリー「ガリレオ」シリーズ第3作、初の長篇。

読書メーター

これだけは挙げなければならないだろうと満を持しての登場、「ガリレオシリーズ」です。

超有名作家「東野圭吾」が描くは天才数学者「石神」。
浜村渚よりもこっちを知ってるという方も多いのではないでしょうか?

容疑者Xの献身は浜村渚と違い、こっちは完全なる本格派数学ミステリーになっています。

複雑奇怪に起こる殺人事件。それをスパッと解決する石神。
読後の爽快感たるや、計り知れないものがあります。

また、福山雅治さん主演で映画化もされており、映画でも多くの人から注目された作品です。

本格的な数学ミステリーを読みたい方、是非1度お手に取ってみてください。

東野圭吾が魅せる数学ミステリーにハマること間違いなしです!

  • 森博嗣「全てがFになる」

密室から飛び出した死体。究極の謎解きミステリィ。
コンピュータに残されたメッセージに挑む犀川助教授とお嬢様学生・萌絵。

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季(まがたしき)。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平(さいかわそうへい)と女子学生・西之園萌絵(にしのそのもえ)が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。

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こっちもとても有名作。超有名作家「森博嗣」の完璧なるミステリーです。

こちらは主人公が天才工学博士なので「数学要素が少ないのでは……」と思う方、大丈夫です。

どちらかと言えば数学強めなミステリーはもうほんと、例える言葉が見つからないほどに「完璧」です。

「絶海の孤島」というミステリーではありふれた舞台に光る最先端技術の融合。
強めなキャラクターとなんと言っても緻密に計算され尽くしたミステリーがあなたを襲います。

「こんなに凄いミステリー読んだことない!!」と思わず声を上げてしまうような超名作です。

未読の方は急いでください。こんなに凄いミステリーを知らないなんて、とてももったいない!!

まとめ

という事でいかがだったでしょうか?

数学嫌々星人だった僕にとって学生の頃読んだ浜村渚シリーズはとても衝撃で、改めて数学の面白さを教えてくれた1冊です。

大人になって読み返しても、そして次の世代に手渡しても、また新たな発見があって面白いのではないでしょうか。

アニメ化も期待されている本作、是非1度気になった方はお手に取って頂けると幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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