こんにちは。文章を書くのが好きな一般人、うつがや(@utugaya)です。
皆さんは「幼馴染が絶対に負けないラブコメ」という作品をご存知でしょうか?
この作品、インターネットではアニメの作画崩壊で話題ないわゆるよくない作品でして……
特にこのダンス。
インターネットを徘徊する上で一度は観たことある方も多いのではないでしょうか?
では、この作品「原作もアニメと同じように悪いのか?」と問われると答えはノーです。
ラノベらしく面白く、ギャグのテンポも最高で理想のヒロインやヒロインに負けじと可愛い女の子たちに主人公は取り囲まれ追体験するには最高です。
では、何故この作品はアニメでは負けてしまったのか。
今回は「ライトノベルがアニメ化するということ」に着目点を置いて、現状のラノベラブコメと事の顛末について「原作の質」「ラノベがアニメ化する意味」「何故こういうことが起きるのか」の三つの視点から語っていきたいと思います。
最後までお付き合いいただけると幸いです。
それではいってみましょー!!
- あくまで本作は”最高のライトノベルである”ということを忘れてはいけない
- そして何よりも水のようにスルスル読める読書感。やっぱラノベはこうでなくっちゃ
- ラノベとアニメのマリアージュ、失敗は昔からある物のどうにかならんのかね……
あらすじ
幼なじみが負けフラグの時代は終わった? 予測不能なヒロインレース開幕!
幼なじみの志田黒羽は俺のことが好きらしい。家は隣で見た目はロリ可愛。陽キャでクラスの人気者、かつ中身は世話焼きお姉系と文句なしの最強である。
Amazonより
……でも俺には、初恋の美少女で学園のアイドル、芥見賞受賞の現役女子高生作家、可知白草がいる! 普通に考えたら俺には無理めな白草だけど、下校途中、俺にだけ笑顔で会話してくれるんだぜ! これもう完全に脈アリでしょ!
ところが白草に彼氏ができたと聞き、俺の人生は急転直下。死にたい。というかなんで俺じゃないんだ!? 俺の初恋だったのに……。失意に沈む俺に黒羽が囁く――そんなに辛いなら、復讐しよう? 最高の復讐をしてあげようよ――と。
書籍情報
著者 | 二丸修一(@nimarushuichi) |
定価 | 630円+税 |
ページ数 | 296ページ |
初版年月日 | 2019年6月8日 |
ISBN | 978-4-04-912524-5 |
おすすめポイント
あくまで本作は”最高のライトノベルである”ということを忘れてはいけない
まずは軽く「幼馴染は絶対に負けないラブコメ」という作品の紹介をさせてください。
本作はタイトルにもある通り、「幼馴染が絶対に負けないラブコメ」という点に着目して作られたライトノベル作品です。
この「ラブコメでは幼馴染が負けてしまう」という文化、元はエロゲやラノベ中心に広まった文化なのですが、いわゆるオタク趣味に造詣が深い人ならば一度は目にした光景なのではないでしょうか?
主人公のそばにずっといて、困ったときは手を差し伸べ癒やしを求めているときには純愛を持って励ましてくれる、そんな幼馴染キャラ。
金田一少年の事件簿では七瀬美雪がその枠に該当しますし、進撃の巨人ではミカサ・アッカーマンがまさにそのポジションに当たります。
ですがそんな幼馴染キャラ、一つ欠点がありまして……。
それは「主人公と最終的にくっつく事が極端に少ない外れ枠になってしまっている」点です。
主人公がいつも選択するのは幼馴染キャラではなくポッと出の、見ず知らずの美少女であり、長年連れ添ったもう”嫁”と呼ぶべき幼馴染はいつも負けヒロインとして君臨してしまうんですよね。
これは仕方のない点です。
読者において「主人公と元から仲の良かった幼馴染キャラがくっ付いてしまう」というのは驚きも少ないですし、正直ロマンチックには欠けてしまう印象があるからです。
でも、「おさまけ」は違います。
この作品の素晴らしさは始めから「幼馴染は絶対に負けない」と言い切っているところにあり、それに付随してメインヒロインである「志田黒羽」はあまりにもヒロインヒロインしています。
例えば、すぐに主人公の隣を死守しあまたのヒロインをなぎ倒しながら守り抜く狡猾さ。
時に他の主人公を狙う女の子を出し抜きあまつさえ手すら触れさせない独占欲の強さ。

未だかつてこんなにも恋愛に対し本気だった幼馴染キャラクターは居たでしょうか?
バカテスの島田美波がまるでなにもしていないようにも感じる布陣で黒羽は主人公に襲いかかるんです。
その姿はまさに「恋愛軍師」と呼ぶのにも納得の、用意周到さを見せます。
エロゲ・ラノベ文化もしっかりと踏襲し、尚且つ魅力的なキャラクターはまさに「最高のライトノベル」と呼ばざるを得ない一冊です!
そして何よりも水のようにスルスル読める読書感。やっぱラノベはこうでなくっちゃ
次に本作の読書感について語りたいと思うのですが、正直アニメの感想にて「内容が薄い」という言葉はここから来たんじゃないかと僕は睨んでいます。
本作、とにかく読みやすいです。
無駄のない文章、スラスラと目に入ってくる言葉のリズム。
そして何よりも内容が難しくなく、伏線が幾重にも重なるミステリー小説や地名で手が止まってしまうファンタジー小説とは違いあくまでも「現代風ラブコメである」という点がしっかりと踏まえられています。
故に、ライトノベルとしては完成度が高いんです。
ラノベに求めているのはエンタメ性。つまり読みやすさとキャッチーなキャラクター性、ストーリーの面白さにあります。
会話文が物語を紡ぎ、地の文はあくまで物語の補完のみ。
さして登場人物もあまり多くなく数人で物語が完結しやすいラブコメがラノベに多いのは、そんな理由があるからです。
ですがそれがアニメに変わるとどうなるのか。
どうしてもライトノベルでは読みやすくもそれをそのままアニメに変えてしまっては、いささか内容が薄く感じてしまうのも仕方が無いのかも知れません。
特におさまけの様な「ファンタジー的な混じりけの無い純ラブコメ」ではそのような事が発生しやすい環境になってしまうのではないかと考察します。
再三になりますが本作はとてもスラスラ読めて気持ちが良く、すぐに次巻を手に取りたくなるような魔力を持った作品には間違い無いんです。
ですがそれは、”アニメ”という媒体に変換されたとき「物足りなさ」に変わってしまう事もあるのでは無いかと考えます。
前の項でも書きましたが、最高のライトノベル作品には間違いありません。
「幼馴染キャラ」に焦点を置いたキャラクター性溢れる作品で、読みやすく、手に取りやすい。
様々な騒動で「幼なじみが絶対に負けないラブコメ」を知った方には是非とも一回手に取っていただきたい作品です。
思い立ったが吉日!興味が冷めないうちに買いに行け!!!!
ラノベとアニメのマリアージュ、失敗は昔からある物のどうにかならんのかね……
さて、ここからは完全なアニメについてのお話をしたいと思います。
皆さんはライトノベル原作のアニメ、ご覧になりますか?
例えば、有名なもので行くとソードアートオンライン。
今見ても面白く、こんなものが中学生の時代に流れていたなら僕もきっと黒の剣士キリトになっていたとおもいます。
そんなヒット作もあることながら、ライトノベル原作のアニメにはいわゆる“作画崩壊”な失敗作も数多に存在しています。
例えば、「俺が好きなのは妹だけど妹じゃない」。
恵比須 清司先生の作品が原作でアホほど可愛い妹萌えなラブコメライトノベルが原作の本作ですが、テレビ放映された当時はあまりにも質の低い作画と素人目から見ても分かる構図の不備でインターネット中が大騒ぎになった記憶があります。

この作品、アニメだけ見れば最悪の結末を辿ります。
大体深夜アニメというものはDVD化される際に作画を修正しより綺麗に、アニメコンテンツとして万全の状態を整えてから出荷されるものですが、なんと本作は焼け石に水状態で発売されました。
そんないもいもですが、アニメが最悪だった分原作のイラスト担当である「はぎん太郎」先生の綺麗な作画が注目され部数が伸びる結果に落ち着きました。
では何故、ライトノベルのアニメ化は作画崩壊が起きた状態で放映されてしまうのでしょうか?
そこには「常識を無視したスケジュール」と「出版社の見えない圧力」が絡んでいます。
まず初めに、ライトノベルはナマモノです。
年間2500作品以上のライトノベル作品が出版される中で一時話題になった作品。あなたはいくつ覚えていますか?
最近で言うとたんもしなんかは大ヒットした記憶がありますが、それも実は5年前の”話題作”です。
この「作品数が膨大だからこそ話題のあるうちにアニメ化しときたい」という考えが、アニメ制作現場への「常識では考えられないスケジュール」を生み出していきます。
また、出版社側からすれば大金をかけて抑えた深夜アニメ枠を再放送や別番組を流して無駄にするなんてことはしたくないはずです。
どんな形でも「アニメ化」をしてしまえば発行部数は伸びるだろう。
そんな「見えない圧力」がアニメ制作会社、ひいては作家本人を苦しめます。
二丸先生が何度も繰り返しポストしていたこの言葉。
おさまけが辿ってしまった道筋の一端として「アニメ化と相性の悪いラブコメなのに詰めが甘かった」「その詰めをする時間をスケジュールのせいで与えてもらえなかった」最大の根拠に足りうる言葉だと思います。
謎ダンスがSNSでバズり作画崩壊として一躍話題になった本作のアニメ化。
結果は「販売部数低下」という最悪の結末です。
それまで毎月と言っていいほど重版されていた一巻の発行部数が伸び悩み、シリーズ通して成長を阻害する結末になってしまいました。
作品自体は本当にとてつもなくいいライトノベルなのにこの仕打ちとは、発売日ごとに追ってきたファンの一端として残念でなりません。
おさまけが踏んだ轍を踏ませないようにする対策を考えていかないと、ライトノベルとしての明暗はもしかしたら暗いままなのかもしれません。
もし本書が気に入ったら
他の「アニメ化されたラブコメライトノベル」作品
- さくら荘のペットな彼女

俺の仕事は、ぱんつも自分で選べない天才少女の“世話係”!?
俺の住む寮・さくら荘は、学園の変人たちの集まり。そんな寮に転校早々やってきた椎名ましろは、可愛くて清楚で、しかも世界的に有名な天才画家だという。寮の変人たちの餌食にならないよう、ましろを守らねば! と意気込む俺。だけど彼女は、部屋はめちゃくちゃ、外に出れば道に迷い、服を自分で選べないし、着られない、生活破綻少女だったのだ! そんなましろの“世話係”に任命された俺。って、服とか俺が着替えさせるの!? これでも健全な男子高校生なんですけど!?
電撃文庫公式サイトより
変態と天才と凡人が織りなす青春学園ラブコメディ登場!!
こちらの作品はあの青ブタでも有名な鴨志田一先生のライトノベル作品なのですが、おさまけと同様アニメ化の際炎上事件を巻き起こしました。
詳しくは下記の記事を参照していただければ幸いなのですが、良かったことは作品自体に悪影響はなかった、と言うことです。
ライトノベルらしい「さくら荘」を舞台にしたドタバタ群像劇と、ヒロイン・椎名ましろが持つちょっと不思議な秘密。
あの頃のラブコメらしい空気感が読んでいるたび伝わってきて本当に今読むと泣きそうになります。
鴨志田一先生という安心感!
久々に昔懐かしいラノベの世界に浸ってみるのはいかがでしょうか?
- 俺が好きなのは妹だけど妹じゃない

美少女で、成績優秀、生徒会長も務める中学三年生の妹――永見涼花。そんな妹が『兄を溺愛する妹の小説』を書いてラノベ大賞を受賞!? ラノベを知らない妹の代わりに兄の俺がデビューする……だと!?
Amazonより
さて、満を辞して登場恵比須清司先生原作のいもうと系ラブコメです!
前述した通り「あまりにもひどい作画崩壊」で悪目立ちしてしまった本作。
では原作は?と訊かれますと、心の底からオススメできる一作です!!!
なんと言ってもいもうと系として太鼓判を押せるほどの妹萌えを摂取できる神展開。
スラスラ読める割には過剰なまでに癖が詰め込まれておりライトノベルとしての完成度の高さが味わえます。
そんな最高の妹萌えにプラスしてはぎん太郎先生の可愛すぎる挿絵!!!!!
はぁ、俺の脳内にもこんな妹が住んでくれればいいのに……。
あの頃ニコ動で作画崩壊集をみてコメントしていたそこのあなた!
原作に手を伸ばすのは今からでも全然遅くないですよ?
まとめ
と言うことでいかがだったでしょうか?
本記事を書くきっかけになったのは最終巻発売前の二丸先生のとあるポストがきっかけになりました。
長文で愚痴に等しい文章だったのですが、なんというか、読んでいるだけで「こんなことになるなんて思いもよらなかった」という悲壮感が背後を突きます。
文字通り、おさまけはまだ”負けていません”。
最終巻が発売されたここからでも、今からでも、一人でも手に取ってくださる人が増えるだけで作品の輪はどんどん広がっていきます。
負の側面があるアニメ化で失敗してしまった作品だから、ではなく純粋におさまけの面白さを知って欲しい。
そしてあわよくば、本記事が二丸先生を取り囲む言葉にできない後悔の負担を少しでも軽減することを祈って。
気に入って頂けたら是非手に取って頂けると嬉しいです。
最後まで読んで下さりありがとうございました!