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Book review

岡本太郎「今日の芸術」を読んで。古い哲学書を今更読む意味って何?

Book review

こんにちは。文章を書くのが好きな一般人、うつがや(@utugaya)です。

普段は小説や漫画ばかり読んでいるのですが、ふとしたキッカケに読んだ岡田斗司夫先生の「悩みのるつぼ」が面白くて、最近は哲学本ばかり読んでいます。

そんな中出会ったのが、今回紹介する岡本太郎著「今日の芸術」です。
岡本太郎のベストセラーであり、近代美術、ひいては現代社会に大きな影響を及ぼした一冊なのですが、正直あまり面白くないんですよね。

それは何故か。一言で言って仕舞えば「内容が現代に浸透してしまっているから」です。

それまでなかった思想が本書によって広がり社会に浸透していった結果、本書の内容は”ありきたりなもの”になってしまいました。

では、果たして本書は読む価値がないものなのでしょうか?

答えは絶対にノーです。むしろ考えが浸透し当たり前になった今こそ読む価値のある一冊であると胸を張って言えます。

今回はそんな「ベストセラーの末路」と、「古き哲学書に眠る”ワンピース”」について解説していこうと思います!!

おすすめポイント
  • 誰でも理解できる「芸術」と「人生」
  • 時代の違いはあんまり面白くない
  • この本に眠る”ワンピース”とは

あらすじ

「今日の芸術は、うまくあってはいけない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない。」――斬新な画風と発言で大衆を魅了し続けた岡本太郎。1954年の底本刊行当時、本書は人々に大きな衝撃を与え、ベストセラーとなった。彼が伝えようとしたこととは何なのか? 「伝説」の名著は、時を超え、いつの時代にも新鮮な感動を呼び起こす。

Amazonより

書籍情報

著者岡本太郎
定価680 円+税 748 円(税込)
ページ数324ページ
初版年月日2022年7月13日
ISBN978-4-334-79311-1

おすすめポイント

この段落では僕が読んで「これは是非おすすめしたい!」と思った点について詳しく紹介していきます。

子供向けに書かれているからこそ誰にでも理解できる「芸術」と「人生」

本書の特徴として、「文体が非常に読みやすい」というのが挙げられます。

それもそのはずこの本はその昔、光文社の社長が岡本太郎に「小学生にもわかるように芸術の事について書いてくれ」と依頼して出来上がった一冊なのです。

では内容も子供向けになるかと思われるかもしれませんが、岡本太郎は芸術家です。そこは譲らない。

冒頭、「芸術とは何か」から始まり、「芸術とは人生なのだ」と子供には到底理解できないようなことを言い出すんですよね。

でもとにかく描写が丁寧で、「何故芸術は分からないのか」「現代の芸術は芸術ではない」「人生とは何か」が細かい箇所からものすごく分かりやすく描かれている。

内容のレベルは下げず読者への目線は落とす。本書のベストセラーたる所以はここにあるのだと思います。

正直……時代の違いはあんまり面白くないですよね?

皆さんは上司や学校の先生など目上の大人に「俺の若い頃は…」と言われて「昔は良くて今はダメなんだ!変えなきゃ!」と思いますか?

せめて「なるほどー昔はそうだったのかー」くらいか、「昔と今は違うだろ」と感じる方が多いと思います。

これは何故かというと、「昔の時代の上に今の時代が成り立っている」からなんですね。

つまり「昔の話」は基礎であり、その基礎を応用して成り立っている今の時代においてその話は無用だからです。

だって昔のダメだったところを改善して進んでいるのが人類なんですもん。進化してますよ、そりゃあ。

本書がベストセラーになるにつれて、本書独特の「芸術は人生である」という考え方は一般化し、「芸術」を世の中に浸透させるよう時間は流れてきました。

それまで新しかった岡本太郎の考え方は、「時代の基礎」へと組み込まれていったのです。

「昔話」をされても、ただ眠くなるだけです。それが本書でも起こってしまっている。
誰もが手に取った本書だからこそ、岡本太郎の考え方は時代の基礎に相成ったのです。

古き哲学書に眠る”ワンピース”とは

前述した「時代の基礎」。この本の持つワンピースは「思想の根幹」と「今の時代にも必要な”岡本太郎エッセンス”」ではないかと考えます。

まず初めに、「古きを知るのは悪なのか」と問われればそれはノーだと思います。

歴史を学ぶ上で大切なことは、物事の起源を知ることです。
何故資本主義はできたのか。何故戦争を忘れてはいけないのか。本書ではそんな物事の起源の中から「芸術とは人生である」という岡本太郎が提唱した美術の根幹にある考えに触れることが出来るのです。

ただ、そんなありきたりな物事の起源は正直聞いているだけで眠くなります。その上で本書を読む意味を考えると、それは「岡本太郎の言葉に触れることができる」点に収束していくと僕は考えます。

岡本太郎発の「芸術」という思考に触れることによって、何故自由なのか。どうして自由でないといけないのか。を知る事こそまさに時代の地層に隠れてしまった”ワンピース”であり、それが本人の書かれた言葉で聴くことができるのが本書の良さだと僕は感じました。

だって考えて見てください。今の僕らはキリストの残した言葉も、有名な哲学者の言葉も読むことができる。

本人はとうに死んでしまっていても、言葉は本という媒体に姿を変えいつでもアクセス出来るんです。

少し眠たい時間かもしれないですが、こんな贅沢を楽しめる現代人だからこそ手に取る価値があるのではないでしょうか?

美術に人生を捧げた岡本太郎の根幹にあるスッと入ってくる言葉たちを、是非楽しんでみてください。

岡本太郎エッセンスを感じる「タローマン」について

Screenshot

本書とは関係が薄いですが、NHKにて岡本太郎の作品を使ってヒーロー物をやる「タローマン」というドラマをやっておりまして、これがまぁ面白い。

作品から伝わる熱意やら、その当時の時代に合わせた映像作りやら、何から何まで岡本太郎の力強さを感じます。

映画も公開されますます今の時代に浸透していく岡本太郎のエッセンス。

番組も短いので、ぜひ気軽に見てみてください。マジでおススメです。

もし本書が気に入ったら

岡本太郎の根幹が気に入ったあなたにこそ読んでほしい、「当たり前になっちゃった考えの元」になっている作品を2つご紹介します。

資本主義から自由まで。ただ単に生きている僕らの時代の元となっている考えに、この期に触れてみませんか?

他の「当たり前になっちゃった考えの元になっている」作品

  • マンガでわかる! 100分de名著 マルクス「資本論」に脱成長のヒントを学ぶ / 斎藤幸平

気鋭の経済思想家・斎藤幸平氏が指南役を務め、大きな反響を集めた
NHK「100分de名著 カール・マルクス『資本論』」。
同番組のエッセンスをマンガでさらにわかりやすく解説した一冊が、待望の書籍化!

長時間労働、格差、不安定雇用、低賃金――。
「資本主義の暴力性」が加速化し、社会の矛盾がますます顕著になるなか、
世界的にマルクスが再評価されている。

生産力は上がっているのに、人々の暮らしが貧しくなるのはなぜなのか?
どうして、過労死するまで働き続けなければなければならないのか?
経済成長しなくても、「豊かに生きていける」術はあるのか?

コロナ禍や気候変動といった地球規模の環境危機を踏まえ、
いまこそ必要な社会変革に向けた実践の書として「資本論」を解説する。

NHKより

最初におすすめする作品は、挫折する哲学書でお馴染みのマルクス「資本論」です。

この本ではいま、私たちの世界を当たり前に包んでいる資本主義について「なんで格差が生まれるの?」「どういう仕組みで動いているの?」など当たり前な疑問から「長時間労働って何で起こるの?」といった資本主義のデメリットについて解説しています。

資本主義が登場した世界は意外なことに「この考え方すげ〜!完璧じゃん」と歓声を挙げていたのですが、今の僕らは一体どうでしょう……?

そんな時代にデメリットを解説し、警鐘を鳴らしていたマルクス。

マルクスが語る資本主義のデメリットは今の僕ら現代社会にも通じるところが多く、当たり前になった後も学ぶべき項目が多い一冊です!

ただ原本は読み始めると挫折するので、まずはNHKでお馴染みの「100分de名著」から是非手に取ってみてください!!

  • 中動態の世界─意志と責任の考古学─ / 國分功一朗

誰かを好きになる。これは能動か受動か。好きになろうとしたのでもなければ、好きになるよう強いられたのでもない。自分で「する」と人に「される」しか認めない言葉は、こんなありふれた日常事を説明することすらできない。その外部を探求すべく、著者は歴史からひっそりと姿を消した“中動態”に注目する。人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求める哲学書。時代を画する責任論を新たに収録。

新潮社より

この本で解説されているのは、一部の高校でも実際に教えられている「する」「される」のお話です。

あらすじにもある「誰かを好きになる。これは能動か受動か。」人は何かをするときに、「する」「される」の二つで考えがちです。ですがこの考え、世界の色々な国では違うって知っていましたか?

日本語には行動を表す言葉が「する」「される」の二つしか無い。では本当に僕達は「する」「される」の二つで行動しているのでしょうか?

中動態という少しだけ難しい考え方から世界を見ることはきっと自由という言葉の当たり前を壊してくれるはず。

どうして「する」「される」が当たり前なのか、ほんの少しだけ背伸びをして覗いてみませんか?

まとめ

ということでいかがだったでしょうか!

個人的に読んでいてものすごく絵を描きたくなったので、明日明後日にもキャンバスを買ってこようと思います。

重く忌み嫌われていた「芸術」の多様性を解き放った岡本太郎。今の時代に必要なのは、こんな「多様性」を打ち破るようなパワーなのかもしれません。

今回はそんな力あふれる名作、岡本太郎「今日の芸術」を紹介しました。

気に入って頂けたら是非手に取って頂けると嬉しいです。
最後まで読んで下さりありがとうございました!

この記事を書いた人
うつがや

東京都出身2004年生まれA型大学生ブロガー。
文章を書くことが好きで2022年より月間1000人に読まれるブログ「駄文の連なり」を運営中。

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